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 AHPにおいて, 意思決定者が行なった一対比較から重要度を算出する代表的な方法として,
 
 AHPにおいて, 意思決定者が行なった一対比較から重要度を算出する代表的な方法として,
  
 [[幾何平均法 (AHPの)|幾何平均法]] (geometric mean method),[[固有ベクトル法 (AHPの){]] (eigenvector method),[[対数最小二乗法 (AHPの)|対数最小二乗法]] (logarithmic least squares method)がある.また, 一対比較値を区間表現を用いて拡張したAHPにおいて, 重要度を算出する方法は, [[CIミニマム法]] (C. I. minimum method)など様々提案されている.
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 [[幾何平均法 (AHPの)|幾何平均法]] (geometric mean method),[[固有ベクトル法 (AHPの)|固有ベクトル法]] (eigenvector method),[[対数最小二乗法 (AHPの)|対数最小二乗法]] (logarithmic least squares method)がある.また, 一対比較値を区間表現を用いて拡張したAHPにおいて, 重要度を算出する方法は, [[CIミニマム法]] (C. I. minimum method)など様々提案されている.
  
 一対比較値$a_{ij}$を行列形式で表したものが一対比較行列$ \mbox{\boldmath $A$}$であり, 一対比較する要素は$n$個あるので, $n \times n$の正方行列となる.もし, 一対比較する要素の重要度$w_1,w_2,\ldots,w_n$が既知ならば, 一対比較値$a_{ij}$は, $a_{ij}=\frac{w_i}{w_j}$を満たすことになる.したがって, 一対比較行列$ \mbox{\boldmath $A$}$は次のようになる.
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 一対比較値$<math>a_{ij}\, </math>$を行列形式で表したものが一対比較行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$であり, 一対比較する要素は$<math>n\, </math>$個あるので, $<math>n \times n\, </math>$の正方行列となる.もし, 一対比較する要素の重要度$<math>w_1,w_2,\ldots,w_n\, </math>$が既知ならば, 一対比較値$<math>a_{ij}\, </math>$は, $<math>a_{ij}=\frac{w_i}{w_j}\, </math>$を満たすことになる.したがって, 一対比較行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$は次のようになる.
  
  
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この行列$ \mbox{\boldmath $A$}$は, 意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合に実現されるだけで,それ以外の場合にはこのような形にはならない.意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合にせよ, していない場合にせよ,  一対比較値$a_{ij}$から$\frac{w_i}{w_j}$を推定することで, 重要度を算出することが考えられ, いくつか提案されている.
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この行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$は, 意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合に実現されるだけで,それ以外の場合にはこのような形にはならない.意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合にせよ, していない場合にせよ,  一対比較値$<math>a_{ij}\, </math>$から$<math>\frac{w_i}{w_j}\, </math>$を推定することで, 重要度を算出することが考えられ, いくつか提案されている.
  
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 この一対比較行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$に, 重要度ベクトル$ <math>\mbox{\boldmath $w$}=[w_1,w_2,\ldots,w_n]^{\top}\, </math>$を右側から乗じると, $ <math>\mbox{\boldmath $A$} \mbox{\boldmath $w$} = n \mbox{\boldmath $w$}\, </math>$となり, 変形すると固有値問題$( <math>\mbox{\boldmath $A$}-n \mbox{\boldmath $I$}) \mbox{\boldmath $w$}= \mbox{\boldmath $0$}\, </math>$となる.なお, "<math>${\rm T}\, </math>$"は転置を表している.ここで, $ <math>\mbox{\boldmath $w$} \neq \mbox{\boldmath $0$}\, </math>$が成り立つためには$n$が行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$の固有値でなければならない.さらに, 行列<math>$ \mbox{\boldmath $A$}\, </math>$のランク (rank)は1であるから, 固有値$<math>\lambda_i$$(i=1,2,\ldots,n)\, </math>$のうち1つだけが非ゼロで, 他はすべてゼロとなる.また, 行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$の対角要素の和は$<math>n\, </math>$であるから, トレース (trace)の定義により, 唯一ゼロでない固有値を$<math>\lambda_{\rm max}\, </math>$とすると, $<math>\lambda_{\rm max}=n\, </math>$となる.したがって, 重要度ベクトル$ <math>\mbox{\boldmath $w$}$は行列 $ \mbox{\boldmath $A$}\, </math>$ の最大固有値 $<math>\lambda_{\rm max}\, </math>$ に対する正規化した($<math>\sum^{n}_{i=1}w_i=1\, </math>$)固有ベクトルとなる.
  
 この一対比較行列$ \mbox{\boldmath $A$}$に, 重要度ベクトル$ \mbox{\boldmath $w$}=[w_1,w_2,\ldots,w_n]^{\top}$を右側から乗じると, $ \mbox{\boldmath $A$} \mbox{\boldmath $w$} = n  \mbox{\boldmath $w$}$となり, 変形すると固有値問題$( \mbox{\boldmath $A$}-n \mbox{\boldmath $I$}) \mbox{\boldmath $w$}=  \mbox{\boldmath $0$}$となる.なお, ``${\rm T}$''は転置を表している.ここで, $ \mbox{\boldmath $w$} \neq  \mbox{\boldmath $0$}$が成り立つためには$n$が行列$ \mbox{\boldmath $A$}$の固有値でなければならない.さらに, 行列$ \mbox{\boldmath $A$}$のランク (rank)は1であるから, 固有値$\lambda_i$$(i=1,2,\ldots,n)$のうち1つだけが非ゼロで, 他はすべてゼロとなる.また, 行列$ \mbox{\boldmath $A$}$の対角要素の和は$n$であるから, トレース (trace)の定義により, 唯一ゼロでない固有値を$\lambda_{\rm max}$とすると, $\lambda_{\rm max}=n$となる.したがって, 重要度ベクトル$ \mbox{\boldmath $w$}$は行列 $ \mbox{\boldmath $A$}$ の最大固有値 $\lambda_{\rm max}$ に対する正規化した($\sum^{n}_{i=1}w_i=1$)固有ベクトルとなる.  
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 上記の背景を基に, 一対比較行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$から重要度を算出する方法として, 行列 $ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$ の最大固有値 $<math>\lambda_{\rm max}\, </math>$ に対する($<math>\sum^{n}_{i=1}w_i=1\, </math>$)固有ベクトルを求めるのが, 固有ベクトル法である.上記の固有ベクトル法の解釈が成り立つのは, 意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合だけである.意思決定者の判断が完全に首尾一貫していない場合の固有ベクトル法の解釈は,  文献 [3] で詳しく議論されているので参照されたい.
  
 上記の背景を基に, 一対比較行列$ \mbox{\boldmath $A$}$から重要度を算出する方法として, 行列 $ \mbox{\boldmath $A$}$ の最大固有値 $\lambda_{\rm max}$ に対する($\sum^{n}_{i=1}w_i=1$)固有ベクトルを求めるのが, 固有ベクトル法である.上記の固有ベクトル法の解釈が成り立つのは, 意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合だけである.意思決定者の判断が完全に首尾一貫していない場合の固有ベクトル法の解釈は,  文献 [3] で詳しく議論されているので参照されたい.
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 この固有ベクトル法の他に, 一対比較行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$から重要度を算出する方法は, いくつか提案されている.その1つが, 一対比較行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$の行の要素の幾何平均
  
 この固有ベクトル法の他に, 一対比較行列$ \mbox{\boldmath $A$}$から重要度を算出する方法は,
 
いくつか提案されている.
 
その1つが, 一対比較行列$ \mbox{\boldmath $A$}$の行の要素の幾何平均
 
  
w_i = \left( \prod^{n}_{j=1}a_{ij} \right)^{\frac{1}{n}} \;\; (i=1,2,\ldots,n)
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<math>w_i = \left( \prod^{n}_{j=1}a_{ij} \right)^{\frac{1}{n}} \;\; (i=1,2,\ldots,n)\, </math>
  
を求め, 重要度を算出する幾何平均法である.幾何平均法は, よく固有ベクトル法の簡便法として紹介されるが, 次に示す対数最小二乗法 (LLSM)と同じであることが知られている [1].また, 幾何平均法には, いくつかの好ましい性質があるが, 詳しい内容は文献\cite{M10+SUGI13}にあるので参照されたい.
 
  
 次の重要度算出法としては,
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を求め, 重要度を算出する幾何平均法である.幾何平均法は, よく固有ベクトル法の簡便法として紹介されるが, 次に示す対数最小二乗法 (LLSM)と同じであることが知られている [1].また, 幾何平均法には, いくつかの好ましい性質があるが, 詳しい内容は文献 [5] にあるので参照されたい.
意思決定者が行なった一対比較値$a_{ij}$は, 真の$\frac{w_i}{w_j}$に誤差$\varepsilon_{ij}$が生じたものとして, 誤差の二乗和を最小化して重要度を算出する最小二乗法 (LSM)や対数最小二乗法 (LLSM)がある.最小二乗法 (LSM)では, 一対比較のモデルとして, $a_{ij} = \frac{w_i}{w_j} + \varepsilon_{ij}$を仮定し, 誤差の二乗和を最小化して重要度を算出する.すなわち,
 
  
\min \;\; \sum^{n}_{i=1} \sum^{n}_{j=1} \left| a_{ij}-\frac{w_i}{w_j} \right|^2
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 次の重要度算出法としては,意思決定者が行なった一対比較値$<math>a_{ij}\, </math>$は, 真の$<math>\frac{w_i}{w_j}\, </math>$に誤差$<math>\varepsilon_{ij}\, </math>$が生じたものとして, 誤差の二乗和を最小化して重要度を算出する最小二乗法 (LSM)や対数最小二乗法 (LLSM)がある.最小二乗法 (LSM)では, 一対比較のモデルとして, $<math>a_{ij} = \frac{w_i}{w_j} + \varepsilon_{ij}\, </math>$を仮定し, 誤差の二乗和を最小化して重要度を算出する.すなわち,
  
となる.この最小二乗法 (LSM)では, 解が唯一とは限らないことが難点としてあげられている [2].そして, 対数最小二乗法 (LLSM)では, 一対比較のモデルとして, $a_{ij} = \frac{w_i}{w_j} \varepsilon_{ij}$を仮定し, 誤差の対数二乗和を最小化して重要度を算出する.すなわち,
 
  
\min \;\; \sum^{n}_{i=1} \sum^{n}_{j=1}  
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<math>\min \;\; \sum^{n}_{i=1} \sum^{n}_{j=1} \left| a_{ij}-\frac{w_i}{w_j} \right|^2\, </math>
\left| \ln a_{ij}- \ln \left( \frac{w_i}{w_j} \right) \right|^2
 
  
となる.ここで, 誤差$\varepsilon_{ij}$には, 互いに独立で平均1, 分散$\sigma^2$の対数正規分布を仮定する.このとき, 行列$ \mbox{\boldmath $A$}$の行の要素の幾何平均は最尤推定量になり,  幾何平均法と同じであることが知られている [1].
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となる.この最小二乗法 (LSM)では, 解が唯一とは限らないことが難点としてあげられている [2].そして, 対数最小二乗法 (LLSM)では, 一対比較のモデルとして, $<math>a_{ij} = \frac{w_i}{w_j} \varepsilon_{ij}\, </math>$を仮定し, 誤差の対数二乗和を最小化して重要度を算出する.すなわち,
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<math>\min \;\; \sum^{n}_{i=1} \sum^{n}_{j=1} \left| \ln a_{ij}- \ln \left( \frac{w_i}{w_j} \right) \right|^2\, </math>
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となる.ここで, 誤差$<math>\varepsilon_{ij}\, </math>$には, 互いに独立で平均1, 分散$<math>\sigma^2\, </math>$の対数正規分布を仮定する.このとき, 行列$ <math>\mbox{\boldmath $A$}\, </math>$の行の要素の幾何平均は最尤推定量になり,  幾何平均法と同じであることが知られている [1].
  
 
 一対比較値を区間値やファジィ数に拡張したAHPにおける重要度算出法については, 拡張型AHPの項を参照されたい.
 
 一対比較値を区間値やファジィ数に拡張したAHPにおける重要度算出法については, 拡張型AHPの項を参照されたい.

2007年7月12日 (木) 20:31時点における版

【えーえいちぴーじゅうようどさんしゅつほう (AHP weight calculation method) 】

 AHPにおいて, 意思決定者が行なった一対比較から重要度を算出する代表的な方法として,

 幾何平均法 (geometric mean method),固有ベクトル法 (eigenvector method),対数最小二乗法 (logarithmic least squares method)がある.また, 一対比較値を区間表現を用いて拡張したAHPにおいて, 重要度を算出する方法は, CIミニマム法 (C. I. minimum method)など様々提案されている.

 一対比較値$$を行列形式で表したものが一対比較行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $であり, 一対比較する要素は$$個あるので, $$の正方行列となる.もし, 一対比較する要素の重要度$$が既知ならば, 一対比較値$$は, $$を満たすことになる.したがって, 一対比較行列$ 構文解析に失敗 (MathML、ただし動作しない場合はSVGかPNGで代替(最新ブラウザーや補助ツールに推奨): サーバー「https://en.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $は次のようになる.


\mbox{\boldmath $A$}=\left[ \begin{array}{ccccc} \frac{w_1}{w_1} & \cdots & \frac{w_1}{w_j} & \cdots & \frac{w_1}{w_n} \\ \vdots & \ddots & \vdots & & \vdots \\ \frac{w_i}{w_1} & \cdots & \frac{w_i}{w_j} & \cdots & \frac{w_i}{w_n} \\ \vdots & & \vdots & \ddots & \vdots \\ \frac{w_n}{w_1} & \cdots & \frac{w_n}{w_j} & \cdots & \frac{w_n}{w_n} \end{array} \right]


この行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $は, 意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合に実現されるだけで,それ以外の場合にはこのような形にはならない.意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合にせよ, していない場合にせよ, 一対比較値$$から$$を推定することで, 重要度を算出することが考えられ, いくつか提案されている.

 この一対比較行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $に, 重要度ベクトル$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $w$}=[w_1,w_2,\ldots,w_n]^{\top}\, } $を右側から乗じると, $ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$} \mbox{\boldmath $w$} = n \mbox{\boldmath $w$}\, } $となり, 変形すると固有値問題$( 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}-n \mbox{\boldmath $I$}) \mbox{\boldmath $w$}= \mbox{\boldmath $0$}\, } $となる.なお, "$"は転置を表している.ここで, $ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $w$} \neq \mbox{\boldmath $0$}\, } $が成り立つためには$n$が行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $の固有値でなければならない.さらに, 行列構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle $ \mbox{\boldmath $A$}\, } $のランク (rank)は1であるから, 固有値$$のうち1つだけが非ゼロで, 他はすべてゼロとなる.また, 行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $の対角要素の和は$$であるから, トレース (trace)の定義により, 唯一ゼロでない固有値を$$とすると, $$となる.したがって, 重要度ベクトル$ 構文解析に失敗 (MathML、ただし動作しない場合はSVGかPNGで代替(最新ブラウザーや補助ツールに推奨): サーバー「https://en.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \mbox{\boldmath $w$}$は行列 $ \mbox{\boldmath $A$}\, } $ の最大固有値 $$ に対する正規化した($$)固有ベクトルとなる.

 上記の背景を基に, 一対比較行列$ 構文解析に失敗 (MathML、ただし動作しない場合はSVGかPNGで代替(最新ブラウザーや補助ツールに推奨): サーバー「https://en.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $から重要度を算出する方法として, 行列 $ 構文解析に失敗 (MathML、ただし動作しない場合はSVGかPNGで代替(最新ブラウザーや補助ツールに推奨): サーバー「https://en.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $ の最大固有値 $$ に対する($$)固有ベクトルを求めるのが, 固有ベクトル法である.上記の固有ベクトル法の解釈が成り立つのは, 意思決定者の判断が完全に首尾一貫している場合だけである.意思決定者の判断が完全に首尾一貫していない場合の固有ベクトル法の解釈は, 文献 [3] で詳しく議論されているので参照されたい.

 この固有ベクトル法の他に, 一対比較行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $から重要度を算出する方法は, いくつか提案されている.その1つが, 一対比較行列$ 構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $の行の要素の幾何平均



を求め, 重要度を算出する幾何平均法である.幾何平均法は, よく固有ベクトル法の簡便法として紹介されるが, 次に示す対数最小二乗法 (LLSM)と同じであることが知られている [1].また, 幾何平均法には, いくつかの好ましい性質があるが, 詳しい内容は文献 [5] にあるので参照されたい.

 次の重要度算出法としては,意思決定者が行なった一対比較値$$は, 真の$$に誤差$$が生じたものとして, 誤差の二乗和を最小化して重要度を算出する最小二乗法 (LSM)や対数最小二乗法 (LLSM)がある.最小二乗法 (LSM)では, 一対比較のモデルとして, $$を仮定し, 誤差の二乗和を最小化して重要度を算出する.すなわち,



となる.この最小二乗法 (LSM)では, 解が唯一とは限らないことが難点としてあげられている [2].そして, 対数最小二乗法 (LLSM)では, 一対比較のモデルとして, $$を仮定し, 誤差の対数二乗和を最小化して重要度を算出する.すなわち,



となる.ここで, 誤差$$には, 互いに独立で平均1, 分散$$の対数正規分布を仮定する.このとき, 行列$ 構文解析に失敗 (MathML、ただし動作しない場合はSVGかPNGで代替(最新ブラウザーや補助ツールに推奨): サーバー「https://en.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \mbox{\boldmath $A$}\, } $の行の要素の幾何平均は最尤推定量になり, 幾何平均法と同じであることが知られている [1].

 一対比較値を区間値やファジィ数に拡張したAHPにおける重要度算出法については, 拡張型AHPの項を参照されたい.



参考文献

[1] G. Crawford and C. A. Williams, "A Note on the Analysis of Subjective Judgment Matrices," Journal of Mathematical Psychology, 29 (1985), 387-405.

[2] T. L. Saaty and L. G. Vargas, "Inconsistency and Rank Preservation," Journal of Mathematical Psychology, 28 (1984), 205-214.

[3] K. Sekitani and N. Yamaki, "A Logical Interpretation for the Eigenvalue Method in AHP," Journal of the Operations Research Society of Japan, 42 (1999), 219-232.

[4] 刀根薫, 『ゲーム感覚意思決定法 -AHP入門』, 日科技連, 1986.

[5] 刀根薫, 眞鍋龍太郎 編集, 『AHP事例集』, 日科技連, 1990.