《CCRモデル》

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【しーしーあーるもでる (CCR model) 】

 DEA(包絡分析法)のモデルとしてCharnes, Cooper and Rhodesにより提案され, 3人の頭文字をとって名づけられたモデルである[1].

 $$ 個の事業体(DMU)に関する$$個の入力データと$$個の出力データをもとに着目DMU の効率性を測定するために仮想的出力/仮想的入力に着目したモデルに始まり, 多くのモデルが提案された.

比率形式モデルCCR-IR (Input-oriented Ratioform)】

<目的関数の解釈:DMU $ にとって最も有利となるようにウェィト$$, $$を決める. >


\hspace{20mm} s. t.


<制約の解釈:どのDMUの効率値も1以下>

このモデルの線形計画法(Linear Programming; LP)による定式化は以下のようになる.

【同値なLP問題$$-I:入力指向型モデル



 このモデルは「乗数」と呼ばれるウェイト$$, $$を用いていることから乗数形式モデルとも呼ばれる. (乗数については [2] では無限小正数$$以上という制約を課しているが, ここでは [6] の付録Bの主張に従い, 非負制約のみとした. )

【同値なLP双対問題$$-I:入力指向型】


 これらのモデルは入力の改善に着目しているので入力指向型モデルと呼ばれるが, 出力指向型モデルも同様に考えられる.

 モデルCCR-IRまたは$$-IはDMU $$にとって最も有利な乗数$$, $$を求めることを意味する. そのため1項目でも誰にも負けない項目があれば, その項目だけで評価すれば効率値を1にできるので, 一芸入試的評価も可能となる.

 モデル$$-Iの制約は $$ が効率的フロンティアに包みこまれることを意味し, これがData Envelopment Analysis(包絡分析法)の由来となっている (すなわち, [2] ではモデル$$-Iを主問題と捕らえている:$$-I の下付きのp). DMU $$ が効率的となるためには$$ であるばかりでなく, モデル$$-Iの制約におけるスラック変数で表現される入力の余剰$構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \mbox{\boldmath $s$}_x= (s_{x1},s_{x2},\ldots , s_{xm})} $,出力の不足$\構文解析に失敗 (MathML、ただし動作しない場合はSVGかPNGで代替(最新ブラウザーや補助ツールに推奨): サーバー「https://en.wikipedia.org/api/rest_v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle mbox{\boldmath $s$}_y= (s_{y1},s_{y2},\ldots , s_{ym})$}  :




を解消しなければならない. そこで,


構文解析に失敗 (構文エラー): {\displaystyle \theta_{J}=1 \ ; \mbox{\boldmath $s$}_x=\mathbf{ 0} \ ; \mbox{\boldmath $s$}_y=\mathbf{ 0} }


のとき, DMU $$ は効率的といわれる.

 DMU $$ が非効率的なときに, その参照集合の要素数が$$ならば, DMU $J$は「自然に包絡されている」といわれる. そのときには各入力を$$倍すればDMU $ は効率的になる. このことは, CCR入力指向型モデルで考えている効率性が原点とDMU間の距離(動径距離radial metric)で測られていること, すなわち比例的効率性を測られていることを示している. DMU $$ が自然に包絡されていないときには入力の余剰や出力の不足があるにも拘らず$$となっている場合があり, $$は効率性の適切な尺度になっていない. そこでCFA (constrained facet analysis) [4] ではDMU $$に最も近い包絡面上のファセットを延長して1でない効率性尺度が求められるよう工夫している.

 比率形式モデル CCR-IRから得られる乗数形式モデル $$-Iの入出力間の制約を凸錐(convex cone)に拡張した コーンレシオモデル [3] や乗数$$, $$の値域に制約を課す領域限定法 [5] なども提案されている.



参考文献

[1] A. Charnes, W. W. Cooper and E. Rhodes, "Measuring Efficiency of Decision Making Units," European Journal of Operational Research, 2 (1978), 429-444.

[2] A. Charnes, W. W. Cooper, A. Y. Lewin and L. M. Seiford, Data Envelopment Analysis : Theory, Methodology and Applications, Kluwer Academic Publishers, 1994. 刀根薫, 上田徹 監訳, 『経営効率評価ハンドブック』, 朝倉書店, 2000.

[3] A. Charnes, W. W. Cooper, Q. L. Wei and Z. M. Huang, "Cone Ratio Data Envelopment Analysis and Multi-Objective Programming," International Journal of Systems Sciences, 20 (1989), 1099-1118.

[4] A. Bessent, W. Bessent, J. Elam and T. Clark, "Efficiency Frontier Determination by Constrained Facet Analysis," Operations Research, 36 (1988), 785-796.

[5] R. Allen, A. Athanassopoulos, R. G. Dyson and E. Thanassoulis, "Weights Restrictions and Value Judgements in Data Envelopment Analysis: Evolution, Development and Future Directions," Annals of Operations Research, 73 (1997), 13-34.

[6] 刀根薫, 『経営効率性の測定と改善―包絡分析法DEAによる』, 日科技連, 1993.