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《数量化法》
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'''【すうりょうかほう (quantification method) 】''' 数量化法は, 林知己夫氏が提唱した記述的多次元データ解析の方法である. 現象を解明するには, データの取得計画, 具体的なデータ取得法, 現象に合わせた適切なデータ解析法の三者が均衡を保つことが重要であるという思想的枠組の中から数量化法が誕生した. いくつかの方法が提案されているが, 各方法の誕生の経緯に共通することは, いずれも具体的な現象解明のための応用実務の探索的データ解析を目指していることである. 扱うデータの中に, ‘はい’か‘いいえ’で答えたり, いくつかの選択肢の中から選んだりするアンケートの回答のような質的変数のデータを含んでいるのが特徴である. 変数の型, 扱い方と目的によって, 数量化I類からVI類までに分かれている. はじめに, I類からIV類までが提唱されて, あとで, V類とVI類が追加された. 変数がすべて同じに扱われる場合と一つの変数だけ区別して, それを他の変数で説明する場合がある. 後者の場合, 説明に用いる変数を説明変数, それらで説明される変数を目的変数という. 目的変数を外的基準ということもあり, 外的基準がある場合/ない場合という表現を使う. [質的変数に対応するダミー変数] 質的変数は, アイテム, 項目と呼ばれることがあり, それがとる状態はカテゴリーと呼ばれる. アンケートの回答結果がデータである場合, 質問における対象がアイテムに当たり, 回答における選択肢がカテゴリーに当たる. たとえば, ‘この車のデザインは好きですか’という質問を‘好き’か‘嫌い’で答える場合, ‘この車のデザイン’がアイテムであり, ‘好き’と‘嫌い’がカテゴリーである. この質問のようにカテゴリー数が2であって, 二者択一である場合は, 0か1の値をとるダミー変数を対応させる. カテゴリー数が3以上であるか, 2であっても両方選ぶことができる場合は, カテゴリー数だけダミー変数を用意し, そのカテゴリーを選んだことを1で, 選ばなかったことを0で表す. このとき, ダミー変数の一次式における係数を定めることは, 各カテゴリーに数量を割り当てることを意味する. [数量化I類] 外的基準がある場合で, 説明変数がすべて質的変数であり, 目的変数が量的変数である予測型手法である. 量的データの解析における重回帰分析に対応する. [数量化II類] 外的基準がある場合で, 説明変数がすべて質的変数であるが, I類と異なり, 目的変数も質的変数である判別分析型手法である. 量的データの解析における判別関数を求めることに対応する. [数量化III類] 外的基準がない場合で, 二つのアイテムについて, カテゴリー別にそれを選んだ度数を集計して作られる2元分割表, クロス表が与えられている. このとき, 相関係数が最大になるように, 二つのアイテムの各カテゴリーに数値を割り当てて, それらの関係を解明する. 数量化III類と同じように, 質的データの数量化を行う同等または類似の手法として, 対応分析[5] , 双対尺度法 [6] などがある. [数量化IV類, V類, VI類] 数量化IV類は, 分析の対象がいくつか考えられているときに, 2対象間の類似性または親近性の程度を表す数値から, 低次元空間における対象の位置を定める方法である. 多次元尺度構成法の一つと見ることもできる. その発展型として, V類, VI類がある. ---- '''参考文献''' [1] 林知己夫, 『数量化-理論と方法』, 朝倉書店, 1993. [2] 林知己夫, 鈴木達三, 『社会調査と数量化(増補版)』, 岩波書店, 1997. [3] 駒澤勉, 『数量化理論とデータ処理』, 朝倉書店, 1982. [4] 大隅昇, L. ルバール 他, 『記述的多変量解析法』, 日科技連出版社, 1994. [5] J. P. Benzecri, ''Correspondence Analysis Handbook'', Marcel Dekker, 1992. [6] S. Nishisato, ''Analysis of Categorical Data : Dual Scaling and Its Applications'', University of Toronto Press, 1980. [[category:統計|すうりょうかほう]]
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