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'''【かんせつひかんり (overhead costs management) 】''' コスト(costs)は, 「あるもの」のために発生する. 例えば, 組織やそれを構成する人間あるいは組織が提供するサービスのために発生する. さらに工場で生産する製品や, 製品を生産するアクティビティ(activities)のためにも発生する. この「あるもの」をコスト計算対象(cost objectives)と言い, コストを計算する. コスト計算対象を工場が作り出す製品と仮定すると, 製品のコストは表1のように分類され, 計算される. <center><table><tr><td align=center>[[画像:sk-0157-c-j-07-1.png]]</td></tr> <td align=center><br>表1:製品のコスト・利益・価格<br><br>[[スタイル検討#間接費管理 (0157-c-j-07-1)|スタイル検討]]</td></table></center> ここで, 直接費(direct costs)は, コスト計算対象のために消費した資源を正確に把握することができ, したがって, コスト計算対象に直接跡づけることができるコストである. これに対し, [[間接費]](overhead costs)は, 個々のコスト計算対象のために消費した資源を正確に把握できず, 換言すると, コスト計算対象にコストを直接的に認識・集計できない, あるいは認識・集計することに意味を持たないコストである. 間接費は, コスト計算対象にもよるが, 組織の階層に沿って分類すると, 例えば, 本社費, 事業部共通費, 工場の製造間接費, 販売費, 管理費, 一般管理費, 物流コスト, 研究開発費および連結原価などをあげることができる. こうした[[間接費の管理]](overhead costs management)が重要視されるようになったのは, 1885年頃からである. それ以前は, 製造コストは, 素価(直接材料費と直接労務費)のみから構成されており, それ以外の製造コストは, 利益の中に含まれていたのである. しかし, 1885年以降, 製造間接費が製造コストの一部となると, コスト計算のうちで, 製造間接費が最も重要なコスト項目となり, このコストの配分と管理が益々重要視されるようになった. 20世紀に入ると, 公平かつ公正な製造間接費の配賦基準として直接作業時間, 生産量, 材料消費量, 床面積, 設備の価値, 作業員の人数などを用い, 間接費の配賦と管理をするようになった. さらに, 標準原価計算も導入されるようになり, 予算差異や能率差異から成る変動製造間接費差異, さらに予算差異と能率差異と操業度差異から成る固定製造間接費差異を駆使し, 製造間接費の管理をするようになった. 1960年代に入ると, 行列等を用い計量的に洗練したモデル構築を試み, 間接費を管理しようとする研究もなされた. ところが1980年代にはいるとFAやCIMなどに代表されるように, 生産現場の環境が一変し, 製造コストに占める間接費の割合が急激に増加した. その結果, 伝統的な間接費管理の手法では, 製品やサービスなどのアウトプットについて正しいコストを計算し, 原価管理や経営意思決定などの経営管理を支援することが出来なくなった. そこで最近注目されているのが[[活動基準原価計算]](activity-based costing)である. 活動基準原価計算は, 伝統的コスト計算における製造間接費の配賦に関する恣意性を排除する目的で, 1980年代の後半に開発されたコスト計算システムである. 具体的には, 製品やサービスの生産ないし提供に用いるアクティビティを認識し, [[資源作用因]](resource drivers)を利用して各アクティビティ別に製造間接費を計算し, コストプールに集計する. さらに集計したコスト・プールの製造間接費を, アクティビティの量を計量的に表す[[原価作用因]](cost drivers:コスト・ドライバー)ないし[[活動作用因]](activity drivers:アクティビティ・ドライバー)に基づき各製品やサービスに配分し, コストを計算するシステムである. 現在の活動基準原価計算は, 正確な製品コストの計算のみならず, 原価管理, 業績評価, 顧客の利益性分析, 予算管理, 意思決定, [[活動分析]](activity analysis)など, 様々な経営問題を解決する手法に発展している.
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